【寄稿連載】工芸クロニクル屏風のヒミツ(善養寺ススムさん)  其の一 ~工芸の歴史は石器時代から始まった~(前編)

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大公開!工芸のビジネスモデルを紐解く工芸クロニクル屏風の全容

今回解説いただくのはこの石器時代の屏風絵。「自給自足モデルの時代」です。

よくよく見ると・・・

この屏風絵がGWの岩手博覧会に再登場します!

【筆者紹介】イラストレーターで江戸研究家の善養寺ススムさん

其の零 ~工芸クロニクル屏風を描いた人~ はこちら


「工芸クロニクル屏風」のメイキングの解説をさせていただきます。

この四曲四隻(四ツ折りの屏風が四組)の屏風は

中川政七商店三百周年記念企画のひとつとして制作され、

今年(二〇一六年)大日本市博覧会と共に全国を回ります。


工芸クロニクルは、古代から近未来にかけて八時代で、

その時代を代表する工芸品とそのビジネスモデルを見ていこうというものです。

監修は知の巨人・松岡正剛さんが所長を務める、編集工学研究所さん。

そして、私が絵を描かせて頂きました。


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(1)自給自足モデルの時代《紀元前一万二千年〜紀元前二千年頃》


一隻目の一枚を覗いてみましょう。

「自給自足モデルの時代」です。

必要なモノをみんなで作って、みんなで使います。


絵は縄文~弥生時代にかけての生活の様子をベースに描きました。

今回は中でも縄文の人々の暮らしをご紹介します。


「縄文時代」と言うと、狩猟採集で暮らす小さな部落のイメージですが、

三内丸山遺跡のように五〇〇人を越す「都市」もあるのです。

巨大な建築物や広い通り、墓地もあって、遠くの村との交易を盛んに行っていたそうです。


とは言っても、基本は自分たちのまわりの恵みを上手に使って暮らす時代です。


この時代に、漆や麻織物、石器のナイフや包丁、斧、弓矢が既にあり、

焚き火で作る土器などが作られていました。

それらの「工芸品」は、必要な時に必要な人が自分で作り、

やがて上手な人が専門に生産するような職人制へ移行したようです。


凄いですね。日本という国家が産声を上げたとされる一万年以上も前に、

「工芸」はヨチヨチ歩きを初めていたのですね!


《謎がいっぱいの縄文の家》


絵の中心にあるのは「竪穴式住居」です。

名前からすると「地面に縦に穴を掘って、ウサギみたいな洞窟に暮らしている」

という図をイメージしちゃいますが、ちがうんですね。

縦穴なのは「柱を立てたの穴」のことです。「じゃあ横穴式住居もあんの?」

なんて思ったりしてましたが、そっちはいわゆる洞窟のことで、

建築物ではありません。


発掘されているのは、縦穴と土間と囲炉裏の跡です。

そこから「ここに家が造られていたのだろう」と推測されていますが、

残念ながら上部の遺物は残っていませんので、

絵のようないわゆる「縄文の家」は想像なんだそうです。


別の遺跡からは、現代の家のように「壁」のある構造の

「家形の埴輪(はにわ」が発見されていますが、

縄文時代からすると一万二千年〜二千年後の古墳時代のもので、

言わば未来建築(縄文人にとって)なのです。


《豊かな縄文土器》


家の前では、土器を作っている人がいます。

この頃だって、器用な人やセンスのある人がいたんですよね。

縄などを使って模様を付け、やがては炎のような造形を付けた

「火焔土器(かえんどき」に発展します。

そしてこの土器は九千年前から作られ世界最古のもので、

装飾も特異なものです。縄文人とはどんな人達で、どんな暮らしをしていて、

土器をどのように使っていたのか? 興味は尽きませんね。


初期の土器は、底が尖っています。コンロで煮炊きをする私たちからすると、

かなり使いにくい構造ですが、この土器は土や焚き火に差して立てて

使ったからだと考えられています。

その他に、私の想像ですが、土器を作る時に逆さまに作ったのではないかと

思うのです。その方が簡単に口を平らに作れるし、

安定した状態で乾燥させられますものね。技術が高くなって、

たくさんの装飾を施すようになった「火炎土器」になると、底は平らです。


土器には壷の他にも様々なデザインがあります。

平らな皿や足つきの皿、急須型、香炉型、花瓶型など、いろいろな用途に

用いるために工夫がされたのですね。

つまり、現代の私たちが使う器の基本は五千年前頃には

もう完成していたと言えます。


食器以外にも「土偶(どぐう」と言う人形も作られています。

多くは「巫女(みこ」と思われるシャーマンの像で、

霊祭に用いられたと考えられています。

足が折られ体内に入れられたりしていることから、足の怪我を治療する祈りに

用いたのでは?という説もあります。

人の他にはイノシシなんかも作られています。


→次号、石器時代 後編 へ続く


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【プロジェクト担当より】

1枚目「自給自足モデルの時代」の解説は、なんと2回にわたる長編です。

この時代のビジネスモデルはタイトルにもある通り「自給自足モデル」。

みんなで作り、みんなで使った時代です。善養寺さんの解説にも出てくる土器から、

人々は次第に使いやすく長持ちする石器を用いるようになっていきました。

次回はそんな道具や暮らしの変化と共に、この時代を象徴する、ある工芸をご紹介します。お楽しみに。


【本物の屏風絵が出現!】5月3~5日開催の岩手博覧会の情報はこちら


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